猫との付き合いは約9500〜1万年前に恥まった。およそ9500年前の墓が地中海のキプロス島で発見された。埋葬されていたのは、成人と生後8ヶ月の子猫。
島国であるキプロスには元来、猫はいなかったが、野生の猫をわざわざ持ち込んで一緒に埋葬するとは思えないので、その子猫は当時すでに飼いならされていたうちの1匹と考えるのが妥当。
キプロスの猫たちの先祖はおそらくレバント(トルコ南部からエジプト北部に至る地中海東部の海岸地方)から連れてこられたのだろう。
家ねこの起源
近年の遺伝子分析によると、家ねこの起源はおよそ1万年前の中東にあるという。
中東では、放牧生活をしていた人々が定住し、農耕を始めた頃になる。人の生活が変われば、人と動物の関係、動物を取り巻く環境も変化していく。
1つの地域に定住し人が家を建てると、そこには、ハツカネズミなどがやってくる。イスラエルで見つかった古代の穀物庫には、ハツカネズミが侵入した痕跡が残っていた。ハツカネズミは、そこでねぐらとエサを見つけたのだ。
この地域に住むリビアネコもまた、人間の居住地に惹きつけられるように移動してきたと考えられる。
生ごみの山と、雨風や寒さをしのぐ場所という魅力があったから、うまく人のそばで暮らせるネコたちが何世紀もの歳月を経て、家ねこになった。
ヤマネコ
人間にしてみれば、比較的身体の小さいヤマネコはさほど恐ろし動物ではなく、ネズミを退治してくれるありがたい動物だったので、人間に飼われるようになり、共存するようになった。
が、野生のねこ(ヤマネコ)は人間に飼いならされるまでには、かなりの年月が必要だったと思われる。
つかず離れずの関係が20世紀になっても続いていたのは、アフリカでソコケという種類が発見された時の状況を見るとわかる。
ソコケは、原産地ケニアで今でも人間社会のすぐそばで半野生の生活をしていることがある。この種類は古い時代から生存する種類として公認されたのはつい最近のこと。今なお希少な種ではあるが、人なつこい性格もあって、現在では遠く離れた土地でも人気がある。
キプロスの遺跡以外にも、何千年も前から猫が人と関わってきたことを示す痕跡はいくつか見つかっている。
・エリコ(パレスチナの古都)から9000年前の猫の臼歯が発見 ・パキスタンのインダス川流域にあるハラッパー遺跡から4000年前の歯が発見
古代エジプトでは、猫の目は太陽と月の回転に結びつけて考えられており、すべてを見通すものとされてきた。そのため、アラバスター製の像の目には貴重な銅と水晶が埋め込まれて作られており、重要な宝物だったと思われる。
古代エジプトでは、美術品にも猫がよく登場し、絵画の中の猫たちは丁寧かつ詳細に描かれており、そのほとんどが人間のそばや椅子の足元にうずくまって。すでにこの頃には、ネコは人間にとって身近な存在になっていたのだ。