古代ローマのねこは、モザイク画やギリシャの陶器などにも数おおく描かれているが、最も有名なのは大英博物館に収蔵されている紀元前600年頃のギリシャの壺だろう。2人の女性が鳩を使って猫を遊ばせている絵が描かれている。
そしてローマ帝国の勢力拡大とともに、ねこの分布の確実にヨーロッパ全土に拡大していった。ローマ軍とともに進軍するねこ、大切な穀物を攻撃するネズミの軍団と戦うことだった。
現在のブリティッシュショートヘアーの先祖
大切な穀物をネズミから守るために活躍した短毛の猫が、現在のブリティッシュショートヘアーの先祖だと考えられている。ドイツのシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州トフティングにある2000年前の遺跡からもねこの骨が見つかり、ローマ帝国の荘園跡地、そのほかイギリスでも、ケント州ラリングストンにあるローマ帝国の邸宅跡を始め、いくつもの場所で骨が見つかった。
しかし、イギリスではローマ軍が到達する以前から猫がいたという証拠も発見されている。
それらのねこは、紀元前1550〜同300年頃まで地中海を中心に幅広く海上交易を行っていたフェニキア人の船によってもたらされたのであろう。
もう1種の古代種 ターキッシュバン
ブリティッシュショートヘアーと同じく、ターキッシュバンもヨーロッパ大陸からイギリスまで広く分布した古代種だが、その到来時期はもう少し新しく、十字軍の時代(1095〜1272年頃)である。騎士たちが戦利品として、トルコのバン湖周辺を原産とする珍しいねこを連れ帰ったのだ
ねこは西方のヨーロッパ全土に広がったばかりではなく、ギリシャやローマ、極東と結ぶ通商路が開かれると同時に、東方にも広がっていった。中国へと続くルートから、ついにねこはアジアに到達した。
アジアに到達した ねこ!
アジアでねこは独自の進化を遂げる。
遺伝子は不思議なもので環境に順応しはじめる。ある形質が長い年月の間に特定の中で定着することがある(遺伝的浮遊 という)被毛の色や手触りなどは環境に関係なく進化し、変化してきた。
一方で他の特徴は・被毛の長さなどは、環境に順応するために進化したものだと考えられている。古代にも被毛の長い種はいくつか存在したが、現存する長毛種との関係は定かではない、ペルシャ(現在のイラン)の人里離れた山間の寒冷地に昔から存在していると思われるものの中世以前の記録は見つかっていない。